盲ろう者とは

1 盲ろう者って何?(定義)
目と耳の両方が不自由な人
全国で約1.4万人の盲ろう者が存在する。

愛媛県には200人以上の盲ろう者がいる。
法的には「身体障害者手帳」に視覚と聴覚の両方の障害が記載されている人

レジュメ-盲ろう者とは(盲ろう者概論)

養成講座_聴覚障害の理解

2 盲ろう者の分類(障害の程度による)

1)全盲全聾
2)弱視全聾
3)全盲難聴
4)弱視難聴

3 盲ろう者の分類(経歴から)

(1)盲ベースの盲ろう者
はじめ目が不自由であった人が、後から耳が不自由になった。
盲学校に行っていて(卒業して)点字系のコミュニケーション手段を使う人が多い。

(2)聾ベースの盲ろう者
はじめ耳が不自由であった人が、後から目が不自由になった。
聾学校に行っていて(卒業して)手話系のコミュニケーション手段を使う人が多い。

(3)先天性の盲ろう者
幼い頃から目と耳の両方が不自由であった人。
盲学校に行くか、聾学校に行くかで獲得されるコミュニケーション手段が異なる。
特に18才未満の盲ろう者を「盲ろう児」と呼ぶことがある。

(4)健常ベースの盲ろう者
成人してから目と耳の両方が不自由になった人
点字や手話などのコミュニケーション手段を獲得せず、手書き文字などを使用している人も少なくない。

4 盲ろう者の不自由とは?

(1)「見えない・見えにくい」ことによって
文字がまったく読めない。何か文章を読もうとすると、文字がぼけてしまったり、文字が二重に見えてしまう。
一人で歩けない。歩いているとちょっとした段差でもつまずいてしまう。交通事故に遭うかもしれない。
景色が歪んでみえる。夜など暗いところでは見えない。
普通の明るさがまぶしくて目を開けていられない。

(2)「聞こえない・聞こえにくい」ことによって
家族の声、テレビ・ラジオの音、鳥の泣き声、車のクラクションの音、目覚まし時計の音が聞こえない、聞こえにくい。
言葉の獲得がむつかしい。
人とのコミュニケーションがむつかしい。
音声をとおして入ってくる情報を得ることができない。

(3)3つの制約と孤独感
1)コミュニケーションの制約(人と会話ができない)
2)情報摂取の制約(外部からの情報が入ってこない)
3)移動の制約(外出できない)

これらにより社会に存在しているのに、社会と隔絶された生活を余儀なくされる。
孤独感に満ちている。

5 盲ろう者のコミュニケーション手段
(1)点字系コミュニケーション手段
ア 指点字
イ ブリスタ

(2)手話系コミュニケーション手段
ア 弱視手話
イ 触読手話
ウ 指文字

(3)その他のコミュニケーション手段
ア 音声
イ 手書き文字
ウ 要約筆記
エ サイン
オ etc

6 福祉の狭間におかれてきた盲ろう者
「視覚障害者に対するサービス」は「聞こえる人」に対するサービスである。同様に「聴覚障害者に対するサービス」は「見える人に対するサービス」である。
従ってこれらのサービスを盲ろう者は享受することができないのである。
盲ろう者は「見えないだけの人」や「聞こえないだけの人」とは違った独自のニーズを持っている。しかし盲ろう者の数が少ないこともあり、社会から正しい認識をされてこなかった。
従ってこれまで盲ろう者は福祉の狭間におかれてきたと言っても過言ではない。

7 我々は何をしようとしているのか?
盲ろう者が孤独から解放され、社会で共に人間らしく生きていくためには、次のようなことが必要ではないでしょうか。

(1)コミュニケーション支援
盲ろう者と他の人との間に入って通訳をします。
それによって、盲ろう者は様々な人とコミュニケーションをとることができるようになります。

(2)情報保障
社会に生活する普通の人が普通に得られる情報を盲ろう者に伝えます。

(3)移動の介助
行きたい所に安全に行くことができるように移動の介助をします。

(4)社会参加の場作り
盲ろう者が安心して楽しく社会参加する場を作ります。

(5)盲ろう者の存在やニーズの顕在化
盲ろう者が社会に存在することや、盲ろう者の持っているニーズについて社会に生活する多くの人々に理解してもらう活動をします。(啓発活動)
特に上記の(1)~(3)の役割を担う「通訳介助者」の存在は盲ろう者の自立と社会参加に欠かせないものなのです。